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個人目標の設定と実績

 実績を上げるためには、目標の設定が重要になります。期首に年度経営計画を設定し、これを部門・個人に落とし込むことで、会社全体が同じ方向に向いて、部門間でシナジー効果を相互に与えることができ、その結果大きな実績を上げることが出来ます。
 経営目標を設定する一番のキーワードは、会社全体が同じ方向を向くことです。人それぞれ考え方が異なります。各々の考えで、各々が違う方向を向いて進めば、部門間でマイナスのシナジーを与えてしまいます。

 経営目標と部門目標は、全く同じ方向を向いていることが必要です。ここから方向性にズレが生じれば、個人レベルに目標を落とし込んだ場合のズレが、大きくなります。一般的に経営目標は部門長の意見を取り入れながら経営者が設定するので、経営目標と部門目標に違いは出来にくいものです。例えば、ワンマン社長で、周りの意見に耳を傾けずに、無茶な経営目標を立て、部門長が「これは、社長が設定した目標で、この目標は無理」と言って、経営目標を無視すれば、どうなるか?これを部下に言ったらその影響はどうか?さらに、これらが組織風土に定着すれば、将来どうなるか?容易に想像ができると思います。

 個人目標も経営目標や部門目標と同じ方向を向く必要があります。しかし、個人目標の場合、少し様子が異なってきます。それは個々に「能力」や「やり方(考え方)」が異なっている点です。部門長は、部下の個人目標をお互いが理解・納得しながら、会社と同じ方向を向くように設定する必要があります。
 そして、目標設定に関しては、個人目標の方向性を合わせることと、個人目標の総和が部門目標になるようにする必要があります。部門長は、自分の部門目標を、部下の能力に合わせて個人目標として割り振ることが大切です。
  
 実績に関して、目標と実績は差が付き物です。計画通り進めば良いのですが、思った通り進まず、場合によっては、無意識的に違う方向に進んでいる場合があります。部門長は個人目標と実績の乖離を確認・フォローしながら、会社・部門の目標と同じ方向で業務を遂行するように管理しなければなりません。

 では、一例として、ここに4名の部員がいます。それぞれ「能力」や「やり方(考え方)」が異なります。
  

 Aさんは、4名の中で一番要領が良く、部門目標とのズレが少なく、実績を上げます。
 Bさんは、Aさんと比べて、部門目標とのズレが大きいのですが、努力(矢印の長さ)をAさんより多くして、Aさんと同じ実績を生み出しています。
 Cさんは、Bさんよりさらに部門目標とのズレが大きくなっています。そして、努力は、Aさんと同じです。この場合の実績は、Bさんより小さくなります。Cさんは、個人の努力は、Aさんと同じであるのに、評価がAより低いと不満を持つ可能性があります。
 Dさんは、会社の方向と逆の方向を向いています。管理職は、このような部員に対しては、直ちに是正しなければなりません。是正したつもりでも、変に理解され、違う方向に、しかも突っ走る要注意人物は、たまに組織にいます。十分に注意が必要です。
 個々に「能力」や「やり方(考え方)」が異なる中、お互いが納得しながら目標を定めても、業務を遂行するとAさん、Bさん、Cさん、Dさんのように個人目標が会社の目標と全く同じにはなりにくいものです。実績評価の時には、努力でなく、結果で評価していることを部下に理解させて、時間をかけてでも、部門目標とのズレが小さくなるようにしましょう。なお、努力は実績評価と別にコンピテンシー評価を組み入れると良いでしょう。


【用語説明】
 シナジー効果:相互の補完関係などによって、部分の総和以上(+α)の実績が得られること。

 コンピテンシー評価:目先の実績評価とは異なり、「成果を上げるための行動」を評価する。