株式会社ライモック

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食品衛生7S

整理(Sairi)

 整理とは、必要なものと必要でないものを区別して必要でないものは撤去することです。
 簡単に言うと”いらない物は捨てる”ということです。
 一般的に、引っ越しなど大きなイベントが無い限り、物が溜まります。”いつか使うだろう”、”昔からあるから、触れないでおこう”や”値段が高かった”など理由は様々です。

 一般的な5S活動では、”スペースを占領される(賃貸オフィスではこれらの保管にお金がかかる)”や”作業の邪魔”などが上げられます。しかし、食品加工現場では、それらに加え、いらない物があるために、掃除が煩雑になったり、害虫やねずみの潜伏場所になることもあります。よって、いらないものを放置することは、作業効率のみでなく、食品衛生上もよくありません。

 整理を行うためには、トップ(社長、工場長)が筆頭になり、現場が一丸となって取組むことが大切です。
 なお、捨てることは、”値段が高かった”や”また使うかも”などから勇気がいります。捨てて良いものか迷って時は、取りあえずの保管場所を設けて、1年間(半年間)保管した後に、その間1度の使用しなかったものは捨てることをお勧めします。

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整頓(Saiton)

 整頓とは、必要なときに、必要なものをなるべく早く取り出せるようにすることです。また、食品加工現場では、作業効率のみでなく、その後の、清掃・洗浄・殺菌が行いやすくなります。
 そのため、整頓のルールとして、場所の定位置化と看板などで解りやすくすることが重要です。例えば、新入社員であっても、直ぐに物が取出せるレベルにすることが望まれます。

 整頓もトップ(社長、工場長)が率先して行うことが重要です。特に、整頓は、棚、ラベルなど費用を要します。費用対効果を考えながら身の丈にあった手段を導入することが大切です。

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清掃(Seiketsu)

 清掃とは、ゴミやホコリがないように掃除をすることです。
 清掃を確実に行うためには、”だれが”、”いつ”、”どのように”を定めることが大切です。
 また、定期的に、正しく清掃されているかを確認すること、さらには、責任者が清掃確認を行っていることを確認することが大切です。確認には、一般的にチェックリストが用いられます。
 なお、清掃・洗浄・殺菌の時期は次の4つが挙げられます。また、それぞれ目的に応じてそれらの方法の異なります。
①日常的
 毎日行う清掃・洗浄・殺菌は始業時・終業時にマニュアルに沿って行われます。
②大掃除的
 日常の清掃・洗浄・殺菌以外に、年に1〜2回日常では行えない大掛かりな清掃・洗浄・殺菌が行われます。俗に言う大掃除がこれに当たります。
③緊急臨時的
 作業場でトラブルなどによって異物混入の可能性が疑われた場合や、食中毒の原因になる菌が認められた場合、その原因を取り除くために特別な清掃・洗浄・殺菌が行われます。
④新築・リニューアル時
 工場の新設や作業場のリニューアル時はものが少なく清掃が行いやすい状態です。また、日常では使用しづらい強い殺菌作用を有する薬剤の使用が可能です。

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洗浄(Senjo)

 洗浄とは、洗剤などを用いて汚れを掃除することです。よって、清掃はドライで、洗浄はウェットな状態で掃除をすることになります。

 洗浄後の機器、部品や道具は、再汚染させないように、適切な場所に保管することが大切です。ここでも、整頓が重要です。なお、洗浄前、洗浄後の道具の場所を明確に線引きして、保管することも大切です。

 洗浄作業には、洗剤を使用しますが、洗剤には種類があるので、汚れにあった洗剤を選ぶことが大切です。洗剤には、pH値から酸性洗剤、中性洗剤、塩基性洗剤に大別されます。食品工場では中性洗剤から弱酸性洗剤が良く使用されます。使用する洗剤の性質を十分に理解して使用しないと、十分な効果を得られないことがあるとともに、危険な毒性ガスが発生する事故も起こります。洗剤メーカーや洗浄機器メーカーには、多くのノウハウがあるので、これらメーカーから情報を入手し、正しく安全に洗浄を行うようにしましょう。

 正しく洗浄ができているかを確認する方法として、目視のみでなく、簡易測定(呈色法やATP法)があります。汚染物の正確な測定には、測定時間やコストの観点から、一般的に簡易測定が用いられます。特に、食品衛生7Sで求める清掃・洗浄は、見た目の綺麗さだけでなく、微生物レベルまでの綺麗さが求められます。

 洗浄に関しても、手順(いつ、だれが、どのように)やチェックリストを定めて、口伝えで不確かな情報で”やってるつもり”の洗浄にならないようにすることが大切です。

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殺菌(Sakkin)

 殺菌とは、微生物汚染を可能な限り減少させることです。ここでの殺菌は、一般的な殺菌とは異なり、広い範囲で微生物を”殺菌”・”除去”・”増殖させない”を含んでいます。
 殺菌をするには、”どこで”、”どんな微生物”で汚染されるかを製造工程の中で確認・検討します。
 そして、次の事項に注意して、その対策を考えす。なお、管理基準は、必ず製品検査を行い、その結果をもとに設定する必要があります。
①許容水準の設定
②殺菌方法
③衛生標準手順(SSOP)の作成

 食品の製造過程で微生物汚染が最も多いのは、交差汚染(人、他の原料・食品、機会などからの汚染)です。特に注意を要するのは、作業者の手指からの汚染です。無意識のうちに何かを手で触れていることがあり、手指の殺菌を十分に行うことが必要です。一般的に良く使われるアルコールを用いた殺菌は、作業台のみなくでなく、手洗い場所やドアノブなど人の手が触れる場所も行うことが必要です。

 次亜塩素酸による浸け置き殺菌をする場合は、残っている有機物で殺菌効果が低下するので、浸け置きをする機器部品・道具と浸け置き容器は十分に洗浄すると共もに殺菌効果できるよう手順を明確にすることが大切です。

 また、機器・道具以外に製造設備にも十分注意を払うことが必要です。湿度が高い状態ではカビが発生することがありうるため、除湿を行うことや、湿気がこもりにくい設備レイアウトにするなどを行いことが必要です。また、カビの発生の有無を確認し、発生量と発生場所に適した殺菌を実施することが必要です。

 最後に、殺菌効果を定期的に確認することが大切です。

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躾(Sitsuke)

 躾とは、整理・整頓・清掃・洗浄・殺菌におけるルール(手順)を作業者(パート、社員、派遣、管理者、事務員)がきちんと守るようすることです。簡単のようで難しいものです。
 これは、トップ(社長、工場長)が手本となって行いながら、作業者に周知・徹底することが大切です。

 周知の方法として、次のものが上げられます。

導入教育
 新入社員や業務の異動者に対して予め決められた教育内容について、説明を行います。
 また、OJT(現場で作業を行いながら上司や先輩が教育する)など現場単位での教育も必要です。

継続教育
 定期的に月1度(又は年何度か)に衛生管理について教育を行います。
 また、現場単位で起こったヒアリ・ハットも注意喚起として、継続的な教育に組み込みます。
 また、食中毒事件など衛生管理にかかわる時事ネタや手順の変更も、継続教育に組み込むと良いでしょう。なお、これに関しては、定期ではなく、臨時の教育が良いでしょう。
 継続教育の重要性は、”人間は忘れる動物である”ということです。一度説明したらいつまでも出来るのはないこと認識しながら、何度も同じことを色んな角度から教育をするように心がけましょう。

 徹底する方法として、現場のリーダーは、絶えず作業者が適切にルールを守っているかを観察し、”出来ていれば褒め”、”出来ていなければ叱る”ことが大切です。
 なお、出来ていない場合、その人を一方的に叱るのではなく、守らない理由を把握することを大切です。
 必要に応じて、”説明の仕方を変更する”、”守れるルールを変更する”こともリーダーの重要な仕事です。

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清潔(Seiketsu)

 清潔とは、整理・整頓・清掃・洗浄・殺菌が躾で維持されている状態です。これにより、食品の製造現場(事務エリアを含む)が、見た目だけでなく、微生物レベルまで清潔な状態を維持することです。
 この状態を維持しつつ、食品の製造を行うことで、お客様に対して、安全で安心な食品をお届けすることができ、会社の信頼も上がります。

 食品の安全・安心のために、食品衛生7S活動による衛生管理の徹底を、組織風土になるよう心がけましょう。

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