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ランチェスター戦略

 第一次世界大戦の頃、イギリスのエンジニア(戦闘機の開発)であったF・W・ランチェスターは、自分が開発した戦闘機が戦争でいかなる成果をあげるのかの研究をした結果、兵力数と武器性能が一軍の戦闘力となり、敵軍に与える損害量を決めることを発見しました。これがランチェスターの法則で、第一と第二の2つの法則から成り立っています。

 その後、ランチェスターの法則は、コロンビア大学の数学教授であったB・O・クープマンらがのオペレーションズ・リサーチ(OR=作戦研究)チームによって研究されました。そして、軍事戦略シュミレーションモデルのランチェスター戦略モデルが作られ、第2次世界大戦光輝に成果を収めました。

 日本ではコンサルタントの故田岡信夫氏が、ランチェスターの法則を研究し、販売競争に勝つための理論と実務として体系化しました。1970年代以降、多くの企業がこれを取り入れ、実践して勝ち残っていきました。

 よって、ランチェスター戦略は、イギリスで生まれ、アメリカで育ち、日本で開花した戦略なのです。

ランチェスターの法則

【第一の法則】
 一人が一人しか攻撃できない単発兵器で一騎打ちの戦いをする場合の法則です。   
  
 なお、A群20名が全滅し、B群が1名残存するためには、武器の性能が、A群よりB群の方が5倍性能が高いものを使用しなければならない。


【第二の法則】
 飛び道具などを用いて、多対多の戦いをする場合の法則です。
  
  
 なお、A群20名が全滅し、B群が1名残存するためには、武器の性能が、A群よりB群の方が17倍性能が高いものを使用しなければならない。

ランチェスター戦略の理論

 弱者は、「第一の法則」を活用して、差別化戦略のもと、一点集中主義で局地戦でシェアの確保を目指します。
 強者は、「第二の法則」を活用して、同質化戦略のもと、総合主義で広域戦でシェアを確保することを目指します。
   

ランチェスター戦略のシェア

 市場におけるポジショニングは、市場シェアで評価されます。
 故田岡信夫氏及び斧田太公望氏により、強者及び弱者が目標とする市場シェアが設定されています。
 自社のシェアを把握して、現状の把握及び中長期計画の目標設定に活用できます。なお、市場シェアは細かく算出されていますが、切りの良い数値に丸めて活用する方が解りやすいです。

【強者のシェア】
■ 上限目標値(73.9%):
 独占的なポジションで、その地位は絶対的に安定
■ 安定目標値(41.7%):
 圧倒的に有利なポジションで、首位独走の条件
 40%が多くの企業の目標値になっている
■ 下限目標値(26.1%):
 トップのポジションに立つことの出来る最低条件
 このシェアを下回ると1位であってもその地位は安定しない

【弱者のシェア】
■ 上位目標値(19.3%):
 上位グループに立つことのできるシェア
 弱者の中の強者
■ 影響目標値(10.9%):
 市場に影響を与えることができ、シェア争いに本格参入できるシェア
■ 存在目標値(6.8%):
 競合に存在が認められるシェア
 撤退基準にも使われる
■ 拠点目標値(2.8%):
 存在価値はないに等しいが、橋頭堡になりうる
 この目標値までは「市場参入戦略」を、超えると「競争戦略」を適用する

  

グランドルール

【ナンバーワン主義】
 販売目標を設定する場合、ダントツの1位(ナンバーワン)になることを目指します。これがランチェスター戦略の結論です。1つめのルールです

【一点集中主義】
 弱者は事業領域を細分化し、勝ち易い地域、流通(販路)、顧客、商品を設定し、そこに経営資源を重点投入します。これを一点集中主義といい、2つめのルールです。

【「足下の敵」攻撃の原則】
 成熟市場において売上を伸ばそうとする場合、競合会社から売上を奪うしかありません。では、誰から奪うのが望ましいのか。それは1ランク下のライバル(足下の敵)です。なぜなら、自社より強い敵と全面対決しては体力に劣る自社が不利だからです。狙うべきは勝ち易い敵です。しかも1ランク下からシェアを奪えば、自社が伸びるうえに敵が下がりますから差が倍つきます。そして、足下の敵を射程距離圏外にすれば自社が安全圏となります。